イントロダクション

全員無名、完全無冠の青春群像劇!ゼロ年時代の東京を生きた僕らのための青春映画(スタンドバイミー)。

東京都世田谷区を中心とした舞台に、初恋、失恋、家出、進路、援助交際等のキーワードが散文詩的に散りばめられ、それらの中を根拠も理由もない中途半端な衝動だけで高校三年最後の夏を駆け抜ける若者にも満たない《少年たち》とそれを陰ながらあたたかく見守る大人たち。

メインキャスト陣は全員無名俳優。高校三年の真太郎は、ある日家出をし、わりと近所の幼馴染(小学校時代の同級生)の耕介の実家に転がり込む。小学校時代、大して仲が良かった訳でも悪かった訳でもない二人。耕介の親が田舎に帰省してることを良いことに、次々と真太郎の高校仲間のゴロー、ヒロト、ゴローの彼女なども住みつくようになり、耕介の平穏な暮らしはかき乱され、耕介の部屋はみんなの《秘密基地》状態となってしまう。

~夏休みは好きな娘に会えない~

七夕の夜、好きな娘の短冊を見つけてしまう真太郎。そこに書かれたその娘の願い。中学時代の卒業アルバムに眠らせたままの耕介の初恋相手。なんだか最近、自分に冷たい真太郎の態度に微妙に悩まされ続けるゴロー。夏休み、急に黒ギャル化したゴローの彼女。花火大会の夜、夏期講習の塾の予定があるヒロト。それぞれのそんな小さな悩みも、それぞれの10代の小さなハートで抱えようとすればするほど、それは自然と溢れ出し、時には破裂する。

メガホンをとるのは今作が初長編監督作品となる園子温を師事する田中佑和。撮影は日本映画学校(現日本映画大学)時代の監督の同期の福田陽平(鈴木光司原作映画「アイズ」監督)。そして、「くそガキの告白」監督の鈴木太一、「デメキング」監督の寺内康太郎、「ある優しき殺人者の記録」監督の白石晃士など、田中佑和と親交のある監督人が脇役を固める。監督自身の体験をもとに書き上げられたスタンダードな青春物語。柔らかでポップな色彩と透明感溢れる映像美が印象的で、これから注目すべき個性と映画愛が集結し、かつてモラトリアムを過ごしていた大人たち全員に送る物語が誕生した。